-- その後の学年になってからはどうだった?

 

勉強は常に大変だった思い出しかないけど、2年生になって1年間がどういう流れか把握できるようになりましたね。サッカーの面では、前の年と同じポジションでプレーしていたんだけど、自分としてはフォワードやトップ下でプレーしたいという気持ちはあったから、満足度は無かったです。

 

-- 2年生になって、コミュニケーションなども含めて納得できるようになってきた?

 

コミュニケーションに関しては、だんだん良くなってはきました。海外から来ていた選手たちとも仲が良くて。1年目は、全て一から百まで受け身だったというか、見学していたという気持ちだったので。それから、2年目のシーズンが終わった後の春学期に大きな変化があったと思います。4年生が抜けて新しいチームとして始まって、マークが初めて朝6時からのトレーニングを始めて。

 

-- その理由は?

 

Discipline(規律・鍛錬・克己)ですね。その年に初めて、「5 Disfunction」(チームビルディングの一環の活動)ミーティングを始めて、マークも、選手・チームに対する要求が高くなりました。私が1年生や2年生だった時は、マークも来たばかりだったので、やっぱりなかなかチームを変えられなかったんだと思います。でもこの年はマークがリクルーティングをした選手たちが中心になったから、朝6時のトレーニングとかを取り入れ始めて、練習内容も濃くなったりして。練習の緊張感とか雰囲気も変わりました。

3年生の時は、みんな個の目標が高かったし、お互いを尊重しあって、本当にチームケミストリーが良くなりました。朝6時からのトレーニングも遅刻者・欠席者もなくやり通したし。

 

-- チームの戦績としては、カレッジ・カップのファイナルまで行ったんだよね?

 

そうです。決勝戦はエイミー・ロドリゲスがいた頃のUSC。でも決勝戦はFSUにとってすごく悪い試合で、全然良いサッカーができませんでした。

FSUの殿堂にも展示されている
FSUの殿堂にも展示されている

-- 3年目というと、麻美さんがハーマン・トロフィー(全米大学MVPの名称)を受賞して、個人的には大活躍したという年でもあったけど、自分の中ではどんな気持ちだったのかな? 過去にも今にもFSUに麻美さん以外の受賞者はいないわけだけど。

 

シーズン中はそういうことを意識したことが無かったし、ハーマン・トロフィーのことも知らなかったんです。自分自身が賞などに全く興味が無かったので。でも自分の役割がチームでフォワードとして点を取ることだったので、その役割にフォウカスしてプレーし続けました。

自分の活躍で賞を獲ったとも全く思わなかったし、たくさん点を取れたのはPKを蹴らせてもらっていたというのも大きいです。

-- 3年生からポジションが変わった?

 

そう、3年生になってからようやくトップ下とかフォワードをやらせてもらえるようになって、マークが「麻美にボールを集めろ」って言ってくれて、チームメートが私を常に見てくれましたチームもそれぞれの選手の長所を融合し、上手く引き出し合いながらサッカーしていました。

 

-- そして3年生が終わり、4年生にならずにプロの道に進むことになったんだけど、卒業まで待つか迷ったりはしたの?

 

迷わなかったです。

 

-- では、その当時「いずれは大学に戻ろう」と考えたりはした?

 

考えたけど、本気では思っていなかったというか、最初はマークにも反対されて、「あと1年ちょっとあるから、そのあとでプロに行けるでしょ」という感じで 言われました。でも、オファーのきっかけも、そのチームのブラジル人の選手が怪我をして緊急で選手を探していて、私に話が来たんです。だから、その選手の 怪我がなければ話も無かっただろうし、その前の年の「UEFAカップ」(現ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ)を獲ったし、マルタ(ブラジルのスーパースター)もいたし、こんなチャンスはないって思って。マークには「色々な人に相談したのか?」と聞かれて、「ハートだけじゃなくて、ハートも頭も両方使ってよく考えなさい」って言われました。自分が尊敬する人たちにも色々と相談したんだけど、やっぱり自分の気持ちとしては固まっていたので、プロに行くことにしました。最終的には、マークも応援するって言ってくれて、「何かあればいつでも連絡していいよ」と言われて。マークには、いつか大学に戻ってきて卒業したいとは伝えたんだけど、その時はプロでやることしか考えていなかったです。

 

思い出の場所に戻ってきた
思い出の場所に戻ってきた

-- そしてプロサッカー選手としてのキャリアを終えて、FSUに戻ってきたわけだけど、その一番の理由は何だろう?

 

やっぱり大学が中途半端だったから終わらせたいという気持ちが強かったのと、サッカーしかやってきていなかったので、自分自身の未熟さを感じていたので、 勉強して色々学びたいという気持ちもあったし、そういうのが重なったからですね。マークが監督じゃなかったら戻ってなかったと思いますけど。それと、 FSUのサッカーチームに何かお手伝いできたらなってずっと思っていたし、マークや大学が私の選手時代にしてくれたことに恩返しをしたいっていう気持ちもあって、ちょうどいいタイミングだったかなって。

-- 今回FSUに戻ってきたのは、色々な面ですごく良いタイミングだったようだね。まずは勉強をがんばってください!

 

謙虚な語り口調からは想像もつかない強い意志、向上心、熱い情熱、そして行動力を持つ麻美さん。近い将来、どのように日本と世界を繋ぎ活躍されうのか、とても楽しみですね。まずは無事、大学を卒業できますように!