日本の高校を卒業後、単身アメリカのフロリダ州立大学(FSU)に留学した山口麻美さんは、全米大学MVPを受賞するなど輝かしい実績を残し、スウェーデンやアメリカでプロのサッカー選手として活躍、自ら道を切り開いていった元女子サッカー日本代表。現在はFSUに復学し、卒業に向けて日々学業やサッカーチームでのサポートに日々邁進する彼女が、子供の頃から大学留学を実現し活躍するまでを振り返ってくれました。
-- そもそも、どうしてアメリカの大学に留学しようと思ったの?
小さい頃からなぜかアメリカに憧れを感じていたり、家族旅行で来たこともあったし、お父さんがアメリカに出張に行ったりしていたというのもあって、「アメリカっていいなあ」と思って。
直接のきっかけは、中学2年生の時に、日本人の幼馴染の子がボストンに住んでいたので遊びに行ったんだけど、その子も昔一緒にサッカーをしていたので、アメリカでもサッカーをやっていたんです。その時にアメリカの大学が主催しているサマーキャンプに参加したり遊んだりして、たまたまWUSA(当時のアメリカ女子プロサッカーリーグ)がすごく盛り上がっている時期で、アメリカが1999年に優勝した年だったし。それで、その友達の家族がチケットを入手できて、私を試合に連れて行ってくれたんです。その時の感動が忘れられなかったというか、スタジアムも満員で、「これ女子サッカーの試合?」とアメリカ女子サッカーの人気と偉大さに驚いて、それがきっかけですかね?率直にアメリカでサッカーしたいと思ったのは。
-- その時はアメリカのサッカーキャンプに興味を持ったからアメリカに行ったの?
全然キャンプが目的というわけではなくて、ホームステイで友達のところに遊びに行くという感じで。その友達もサッカーをやっていたから、「サッカーキャンプあるよ」って言われて、じゃあ参加するということになって。それから高校でアメリカに行きたいなって思ったんだけど、留学の仕方がわからなかったりして実現しなかったんです。それでも、高校時代は読売(当時、元日テレ)メニーナやベレーザに所属して、当時ベレーザは日本のトップだったし、ユース年代の代表なども含め日本トップレベルのサッカーを経験させてもらっていたんですが、アメリカに行きたいっていう気持ちを諦めきれず、高校生になってからもっと真剣に考えるようになって、アメリカの大学サッカーというのを意識し始めて、自分で調べたりお父さんに手伝ってもらったりして。その頃インターネットは全然普及していなかったから、アメリカ留学の本で調べることから始まって何校か見つけた中でFSUもあったんです。
-- どんな本を見つけたの?
アメリカ大学留学かスポーツ留学だったかな。UNC(ノースカロライナ大学)とかUCLA(南カルフォルニア大学ロサンゼルス校)とかの強豪大学も見つつ、自分がもし入ったら何を勉強したいのか、出願のテストスコア(SATやACT)やTOEFLはどのくらいか、というのを色々調べました。
-- アメリカの大学入学までの出願プロセスなどをしっかり調べたんだね。
それは留学の本にも書いてあったので。そしてまず下見も含め、サマーキャンプに参加することを決めました。カリフォルニアだと日本人が多いからやめたほうがいいんじゃないかという親のアドバイスもあったりして、私自身もそう思ったし。あとはその当時UNCはダントツで、日本でもベレーザやメニーナは常にトップのチームだったから、違うところに行って強豪校を倒すほうが面白いんじゃないかなって思って。フロリダは暖かいし、ディズニーワールドもあるし、単純に私自身の中で良いイメージがあったので、FSUのサマーキャンプに参加しようと思って、高校3年の7月にあったキャンプに参加しました。そしてキャンプに参加した後、FSUに入ろうって決めました。
-- 入りたいじゃなくて入ろうって思ったの?
入ろうと思いました。監督はそこにいなかったんだけど、アシスタントコーチがキャンプを仕切っていて、その人がオフィスに呼んでくれて「是非来てくれ」と言ってくれました。そこでサッカーチームに誘ってくれて「入りたかったら連絡して」って言われました。それから監督とEメールで連絡を取り始めました。
-- すでにキャンプでキラリと光っていたんだね。
でも今のFSUと全然違って、監督もマーク(クレコリアン、現監督)じゃなくて、他のコーチも違ったし、当時はレベルも低くて、日本人が一人で来るっていうのも珍しかったし。そのキャンプ中にFSUの選手達とも試合をする機会があって、その時に点を取ったりして、「ウェルカムだし、奨学金も少し出すよ」って言われて、帰国してからTOEFLの勉強を始めたりしました。
-- その当時の学校選びの基準はサッカーの強豪校という点?
サッカーが強いところということで、UCLAとかUNCとかもあったけど、率直にFSUに行きたいと思いました。何か縁があったんでしょうかね。
-- キャンプはいくつ参加したの?
本当はいくつか行きたかったけど、日本でのベレーザの活動も休みたくなかったので、一校に絞りました。
-- キャンプ参加の手続きはどうしたの?インターネットで?
そうです、インターネットで。
-- その頃、コーチに前もって連絡したりハイライト・ビデオを送ったりとかは?
そういうのは全くしなくて、ただ参加者の一人としてキャンプに参加して。
-- すごいなあ。それは運命だね。一般的には、最初にコーチにビデオを見てもらって、興味を持たれたら「うちのキャンプに参加してみる?」って声をかけてもらうというのがリクルーティングの基本パターンだけど。
そういうのも全く知らなかったし、とりあえずキャンプに来た、みたいな。