高田翼 インタビュー (2018年春学期を終えて)

NCAAのディビジョン1に所属するウェストバージニア大学サッカー部の一員として2017年秋からアメリカでの大学サッカー留学を開始した高田翼選手。2017年秋学期と2018年春学期を終えた5月中旬にインタビューを行い、1年間のサッカー、学業、そして生活を振り返ってもらいました!

 

高田翼プロフィール

千葉県出身。高校3年生の夏休みにアメリカに3週間滞在し、大学サマーキャンプ参加やホームステイを体験。猛勉強の末、TOEFLをクリアして奨学金を獲得しNCAAのディビジョン1所属ウェストバージニア大学に2017年秋学期に入学。この秋からは2年目を迎える。


ではまず秋学期について、良かったことはある?

 

自分の周りで何が起こっているかわからなくて、一番の問題は言語、英語がやっぱり大変で、理解できないことが多かったです。試合の時もコーチが何言っているのかわからないとか、練習もそうだったけど、自分から聞くようにもなったし。英語が一番の問題で大きく躓いたんですけど、コーチも試合に出るチャンスをくれて、何回かスタメンで出たんですけど、途中20分とか10分とか、短い時間しか試合に出れなかったんですけど、そこでアメリカのカレッジサッカーのルールの中で徐々に慣れていったというのが、一番の収穫かなと思います。あとは、日本のサッカーとの違いを体感したというのが、一番大きかったかな、というところですね。

 

試合に出れて良かったよね、まずは。

 

本当に良かったです。最初の試合、UC Berkeleyとの試合、スタメンで出たんですよ。あの試合がアメリカのスタンダードの試合なのかなと思って、相手はすごく上手くて、僕たちは全然ボールを持てなくて、「アメリカのサッカーってレベルたけーっ!」て思っちゃって。ウエストコーストのチームはテクニカルで早くで、イーストコーストは蹴って、みたいなのがあります。チームによるんでしょうけど、そういう印象を持ちました。

 

そういうのを学べて良かったね。日本とアメリカのサッカーの違い、ざっくり言うと?

 

まず、フィジカルの基準、アスリートとしてのフィジカルの部分が、土台が違うというか。例えば、日本でちっちゃくて上手いプレーヤーがアメリカの下手でも大きくて早い選手と対峙した時に、ちょっと当たられたら、その日本人選手のうまさがなくなっちゃうっていう。

 

それって、世界大会を戦った日本のコーチや指導者もよく言うことだよね。

 

それを感じましたね。自分も日本人なんでテクニックは他のアメリカ人よりできる自信あるんですけど、それが使えなくなっちゃうというか、自分のフィジカルの強さがないとそれが使えないというか。それを学びましたね、速さだとか強さが必要だっていう。

 

それはシーズン中に改善できた?それとも今後の課題だなって思った?

 

シーズン中はできなくて、自分のプレースタイルも変えないとなって思ったりして。春になったらフィジカルの部分は改善しようと思いました。

 (高田選手が先発した2017年シーズン開幕戦のUC Berkeleyにて)

 

一方で、上手くいかなかったこと、まずかったと思うことは?

 

まず、秋学期は他の選手が何を言っているか理解できなくて、言葉の壁は改善しないとまずいと思いました。今は慣れてきましたけど。あとは、監督の戦術もわからないまま、ただ放り出されて。人とコミュニケーションをとることの難しさですね。あとは僕のやりたいことを伝える英語もわからなかったし、それも含めてコミュニケーションが良くなればいかなっていうことを感じました。

 

それでは、昨シーズン一番の思い出は?

 

コンカッション(脳震盪)ですよ。あれはもう、丸3日間の記憶が飛んで、その日に目は覚めたんですけど、どこと試合やっていたのかとか、何したのかも覚えていなくて、気付いたら病院にいて、そのことすらも1分ごとに忘れちゃって。友達が病院のビデオを持っているんですけど、僕がベッドに座ってて、ここはどこだって友達に聞いて、事情を説明してくれるんですけど、また1分後にはここはどこだって聞いて。脳のMRIをとったんですけど、自分がなんでここにいるんだろうって思ったらしくて、そのまま病院の外に出ようとしたら、病院の人に捕まって「何してるんだ」って言われて、ベッドに戻って。結局、首を捻ってて、ネックブレースをして2週間ぐらいかかって。

でも、それを機に友達がたくさんできましたね。みんな声をかけてくれて、大丈夫か、どうした、みたいな。寮でもそれまで一人だったんですけど、友達と部屋を行き来したりして。試合の映像を見る限り、自分でもびっくりしたというか、普段ならひいたりしたと思うんだけど、よくいったなあと思って。もっとフィジカル強くならないとな、って思いました。あと、僕が倒れた後に、チームメートが相手に詰め寄ってくれて、そういうのもいいなあと思って。日本だと、あ、あいつやられた、みたいな。

(公式戦出場時の高田選手)

 

日本だと、監督が試合中にまだいけるか聞いて、選手はやれますってフィールドに戻ったりしそう。

 

ああ、それに関しても、翌日学校に行かなくてもいいって言われて。結局行ったんですけど。あとは、コンカッションの後に毎日テストしたんですよ。

 

医師の許可がないと練習復帰できないでしょ?

 

最後に病院に行って検査しました。1週間ぐらいで戻れましたね。次の日に吐いたんで、それがちょっと怖かったですけど。でもトレーナーがしっかり見てくれて大丈夫だって言われて安心しました。

 

コンカッションになることはいいことではないけど、それで学べたこともあったってことだね。

 

友達ができましたよ・・・女の子の友達がたくさんできました、本当に。

 

どうりでその部分、繰り返すわけだ。