日米のサッカー、アメリカでの文武両道の重要性

--- では、自分の経験を通じて、日本と比べてアメリカのサッカーはどう見える?

一年間戦ってみて、技術面や体力とかスタミナという部分では十分やっていけるなという自信は持てました。ただ、フィジカルのパワーや迫力やスピードは日本より高いレベルにあるので、そういう環境の中でテクニックとか技術力を出せることが大事だなと思いました。いくらうまくても、やっぱり相手の力強いプレッシャー だとかパワーだとかが周りにある中で、自分の力を発揮できるかというと、最初は難しくて。それは日本人が技術はあるけどそういう環境で発揮できるかというと壁があるというか。

--- それは初めてのシーズンだったから?それとも今後も課題になると思う?

僕自身も、もっと体を大きくするようなトレーニングだとか、アメリカでのフィジカルコンタクトが多いので、自分がサイドバックというポジション的なこともあると思うんですけど、そういう部分は避けられ ないんで、そこは強化したいなという。自分の課題だとも、一年間戦って思いましたね、すごく。

--- やっぱりその辺は日本と全然違う?

日本と全然違いますね。あとは、勝負にこだわる姿勢だとかも全然違うと思いましたし。

--- 具体的に、例えばどういうところで勝負にこだわると思った?

やっぱり公式戦だったら勝ちに絶対的にこだわるというか、本当に。プロじゃないですけど、監督なんかは「これはビジネスだ」って言ったり。うちのチームだけかもしれないですけど。笑

--- でも大学チームの多くがそうかもえ。監督たちもクビがかかってるからね。二、三年で結果出せなかったらクビになっちゃうこともあるからね。特に高いレベルのチームなんかは。

それに、練習の中でも、紅白戦とかミニゲームひとつとっても、負けず嫌いのレベルが高いというか、絶対負けないという感じで。ミニゲームでも本当にみんな全力でやったり、片方のチームが負けて終わったら、まだ終わらないでしょっていう感じで。勝負にこだわる姿勢は日本よりすごく感じますね。

--- その点について、日本とどうして違うと思う?

シーズン終盤戦ではマン・オブ・ザ・マッチやカンファレンスの週間最優秀ディフェンダーに選出
シーズン終盤戦ではマン・オブ・ザ・マッチやカンファレンスの週間最優秀ディフェンダーに選出

やっぱり日本人はどこかで優しい気持ちがあったり、そういう人間性が関係しているかもしれないですけど。アメリカではその部分の気持ちが強いので、相手よりまず自分が勝ちたいという気持ちがあって、それがそういう行動につながるのかもと思ったりします。

 

--- 自分自身はそういう環境の中で楽しめている? それともあまり受け入れられない?


最初はそこまでやらなくていいんじゃないかと思ったんだけど、やっていくうちに、公式戦とかでそういうこだわる姿勢が出てくるので、すごく大事だと今は思うようになりました。日本の選手も、もっと貪欲に勝負にこだわることを主張してもいいのかなと思います。

--- コーチングに関して日本とアメリカで違う点はある?

かなりコミュニケーションを大事にしているというか、1週間の中でも頻繁に個別にミーティングをしたり。サッカーでも、褒める時は手放しに褒めたり、だめ だったらしっかり修正しろと言ってくる。日本の指導より喜怒哀楽が出ているとは思います。うちのチームに関しては、ですけど。

--- それはセイント・リオのカラーと言えるかもしれないからね。キース(監督の名前)の。笑

そうですね。アメリカ全体ではどうかわらないけど、褒められて悪い気はしないので。それがモチベーションになったりするし。

--- では、トレーニングはどういう感じ?

春と秋で全然違います。春は試合が無いので、フィジカル強化に時間を割いて、ボールを使わないウェイト・トレーニングとかフィジカルメニューの方が多いので、春は物足りなさもありました。その分、秋は週に2・3試合というのが続いていくので、それを考えると春にいかに体を作っておけるかというのは大事ですね。それとシーズン中は試合が多い分、いかに体をリカバリーできるかというのも大事なので、トレーニングの内容も軽くなったりして、春と秋で全然違うメニューというか。日本だと年間通してのシーズンなので、試合も週一でやっていくんですけど、アメリカでは週二が12月まで続くので、怪我をしないように体を回復させて、なおかつ体のキレを落とさないようにするトレーニングが多いです。個人的には良いと思いますけど。春は、最初の頃はびっくりするくらいボールを使わなくて、筋トレばっかりで、日本では考えられないなということは思いました。笑

--- アメリカはシーズン制で秋学期だけだから、それが大きいかもしれないね。

そこはかなり違うところだと思いますね。

 

--- では、勉強や生活に関してはどうだろう?

今学期は、結局4.0とれました!運良く。

--- 素晴らしい! 全教科でAだったんだね。

はい。ただ、ほとんどブリッジ・プログラム(英語準備クラスが正規授業としてカウントされる)だったので。この秋学期は少しレギュラー・クラスもとったりしましたけど、本格的に全部レギュラー・クラスというのは次の春からなので、どうなるかわからないですけど。毎日の課題がすごく多くて、それをこなすので精一杯というか、最初は余裕があまりなかったですね。

--- 学校側の勉強のサポートは?

ラーニング・リソース・センターというのがあって、そこに行くと各分野の家庭教師がいて、その人たちとアポイントメントをとってレポートを見てもらったり、わからないところを教科書を持っていて教えてもらうとか。サッカー部だけのサポートというわけではないんですけど。

--- いつもそういうサポートを利用して勉強していた?

そうですね。かなりそういうのを利用して、ペーパーの文法を見てもらったりとか。かなり頼りながら、なんとかやり遂げたという感じで。

--- まさに文武両道ということだね。さて、アメリカでの生活全般はどう?

ほとんど大学の中で過ごすので、シーズン中は練習して授業行ってご飯食べて宿題して寝るというサイクルで、ほぼ毎日。面白味は無いんですけど、そういう中でも、チームメートや友達と出かけたり食事したりっていう。あとはキャンパス内にみんないるので、部屋に集まってゲームしたりとか。小さいコミュニティーの中で、そういうことを楽しんでいますね。春もそうですけど。たまに友達と出かけたりとか。生活自体はだいぶ慣れてきたかな。

--- もう1年くらいアメリカにいるからね。そろそろ慣れてこないとね。

そうですよね。慣れてないとやばいですね。笑